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走るプロモーション。日本交通のラッピングタクシーが熱い!

高齢化社会がますます進み、短距離移動のニーズが高まっています。それを受け2017年1月30日より東京23区、武蔵野市、三鷹市のタクシー初乗り運賃が約1kmで410円に引き下げになりました。乗車距離約2kmまでの近距離利用では値下げとなり、これにより高齢者だけでなく幅広い年齢層の“ちょい乗り”利用が増加するのではないかと期待されています。タクシーの賃下げが実施されるのは、戦後初めてのこと。そんな業界変革を控えた2016年末、ドイツのハーバルブランドKNEIPP」のラッピングタクシーが登場したことをご存知でしょうか。今回は、走るタクシーを利用したコラボレーション販促についてご紹介します。
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とにかく目立つ! 「日本交通×メーカー」のコラボタクシー。
2016年12月15日~28日にかけ、株式会社クナイプジャパンが大手タクシー会社の日本交通株式会社とコラボレーションし、“忙しい年末に、自分へのささやかなご褒美を”というコンセプトのもと、ドイツ生まれの入浴剤「KNEIPP」のラッピングタクシーを運行させる販促活動を行いました。
7台の特別仕様車の外装は、同社の商品パッケージをもとにデザインされており、KNEIPPと書かれた大きな行灯と、オレンジと白のツートンカーラーが、他のタクシーと比べかなり目を引きます。車内は、運転席・助手席がオリジナルのシートカバーで覆われており、助手席のヘッドレストに搭載されたデジタル・サイネージでは、オリジナル動画広告を配信しています。
また、ご利用のお客さまへは運転手から「クナイプバスソルト オレンジ・リンデンバウム<菩提樹>の香り」2袋をサンプリング。これにより、お客さまが知人にも渡して会話のきっかけにしてもらう狙いがあるそう。
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行灯や車内動画にもユーザーの目を引くこだわり。
このように、走る車やタクシーは通行人の目を引きやすく、また走行距離が長ければ長いほど、訴求対象人数も膨れあがることから、広告に適しているといえます。そのほかにも、日本交通では過去にも数々のコラボ企画を実現しています。
例えば、2016年7月に期間限定で運行した、サントリー食品インターナショナル株式会社との『伊右衛門おもてなしタクシー』は、「サントリー緑茶 伊右衛門」をイメージしたグリーンの塗装とロゴを施し、特注の伊右衛門行灯を設置した特別仕様車です。乗務員は日本交通に所属する7,000名の中から選出され、外国のお客さまにも日本のおもてなしを体験してもらえるよう、英語対応も可能。そして、車内にはのれんや風鈴を施し、涼しさを体感できる仕様となっています。また、乗車の際には、暑い夏を快適に過ごすことが出来るように冷えた「夏の伊右衛門500ml」と特製うちわ、専用袋に入ったスリッパをプレゼントし、ご利用いただいたお客さまから好評を博しました。
ほかにも、大塚製薬株式会社とコラボし、ご乗車のお客さまにポカリスエットをプレゼントする『ポカリタクシー』は、特注の「ポカリ行灯」がユニークで、乗るだけではなく視覚的にも楽しむことのできる仕様となっています。
また、タクシー利用者からの改善希望のトップが「車内のニオイ」であるという調査結果から、2016年8月より1か月間、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社が手掛ける「ファブリーズ」とコラボし、ニオイ対策を施したタクシー『ファブタク』というプロジェクトを行うなど、同社は「タクシーは“拾う”から“選ぶ”時代へ」というスローガンのもと、斬新な企画を実施し話題を集めています。
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まとめ。
近年、アメリカ発の配車アプリ「Uber」の登場により、タクシー業界は変革のときを迎えています。Uberに登録している一般のドライバーが乗客を有料で乗車させる「ライドシェアリング」の普及が進むニューヨークでは、Uberの台数がイエローキャブを上回ったと報じられ、日本でも解禁に向けての議論が行われています。
そのような中2017年10月には、トヨタから発売される“おもてなしの心”がテーマの「ジャパンタクシー(JPN TAXI)」を東京で投入予定。低床フラットフロアを実現し、子どもやお年寄りも乗り降りしやすく安心です。
それ以外にも、車椅子のまま乗車できるようスロープを設けたり、乗降用のグリップ部は、色弱者の方も認識できる黄色を使うなどユニバーサルデザインにも配慮されています。そして海外からの観光客送迎を見据え、トランクルームも広く設定。このように、さまざまなお客さまに適応できるよう設計されているほか、事故の回避や衝突被害の軽減支援のため、レーザーレーダーと単眼カメラを併用した検知センサーによる自動ブレーキ機能など、高い安全性を重視したシステムが搭載されています。
筆者の希望ですが、タクシーもキュレーションサイトのようになると、より面白くなるでしょうね。例えば、旅先でタクシーを利用する際、スマホをかざすだけで、アルゴリズムから自分の過去検索に基づいて自動で最適な情報を探し、好みに合った飲食店や土産物店に連れて行ってくれるシステムができれば、旅先で迷わずに時間を有効活用できそうですし、ワクワクします。また、詳細な観光スポットの情報を持たない外国人観光客にも喜ばれそうです。そして、車内で流れる動画もその個人が興味を持ちそうな広告動画を提供できるようになれば、さらに効果的な訴求が期待できます。
2020年の東京オリンピックを控え、このようにさまざまな既存の設備がプロモーション・メディアに変化する可能性を秘めています。ニーズの多様化に合わせた柔軟な活用が、今後さらに必要不可欠な時代になってくるのではないでしょうか。
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【取材協力】
日本交通株式会社
東京都千代田区紀尾井町3-12 紀尾井町ビル
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